尾瀬:過去と現在が交差する夏
残暑が続く9月、尾瀬には少しずつ秋の気配が訪れています。雨の多かった今年の夏も、晴れた日には雄大な入道雲が空に広がり、夕暮れ時にはヒグラシの鳴き声が心に染み渡りました。地元の直売所に並ぶ色とりどりの夏野菜は、夏の到来を告げる風物詩。筆者は、かつて学生として尾瀬を訪れた経験を持ち、現在はガイドとして子どもたちを案内する立場にあります。過去の自分と現在の経験が交差する尾瀬での時間は、特別な意味合いを持つものとなりました。
尾瀬学校への回帰:学生からガイドへ
夏休みが始まると、尾瀬では子どもたちの賑やかな声が響き渡ります。多くの学校が教育旅行で尾瀬を訪れ、自然体験学習を行っています。筆者もかつて、中学生の時に「尾瀬学校」という行事で尾瀬を訪れた経験があります。当時、尾瀬の雄大な自然に触れ、多くの学びと感動を得ました。その時の記憶は、今でも鮮明に残っています。
月日は流れ、今、筆者はかつて自分が学んだ尾瀬で、子どもたちを案内するガイドとして活動しています。当時の自分には想像もできなかった未来が、現実となりました。ガイドとして子どもたちと尾瀬を歩く中で、かつての自分の姿を重ね合わせ、不思議な感覚と深い感慨を覚えます。「あの頃の私は、今日の私のガイドをどう評価するだろうか?」そんな問いが、心の中に浮かび上がります。
過去の自分と重なる尾瀬の情景
子どもたちを案内していると、ふとした瞬間に、かつての自分の姿が重なります。友人とおしゃべりしながら歩いたり、少し進むごとに「ガイドさん、あとどれくらい歩きますか?」と尋ねたりする子どもたちの様子は、まさに過去の自分を見ているようです。当時の尾瀬での出来事全てを鮮明に記憶しているわけではありませんが、皆でお弁当を食べたこと、鹿の食害について学んだこと、そしてオコジョを探し回ったことは、今でも強く印象に残っています。
当時、オコジョの愛らしい姿に魅せられていた筆者は、懸命にその姿を追い求めました。今は、オコジョの獰猛な一面も知っていますが、それでもその姿を見つけたいという気持ちは変わりません。ガイドとなった今も、オコジョとの出会いは密かな目標です。子どもたちにとって、尾瀬での一日は、すぐに「特別な思い出」となるわけではないかもしれません。しかし、友人との何気ない会話や、歩き疲れた時に感じたことなど、些細な出来事が、大人になった時にかけがえのない記憶として心に残ることを、筆者は知っています。