女性二人の東北登山記:岩手山と栗駒山の紅葉に挑む
2024年、長雨が続き、計画していた登山が何度もキャンセルになりました。天候とにらめっこする日々の中、ふと思いついたのは「長野が無理なら東北へ行こう」というアイデア。出発前日に決まったこの急な計画から、二人の女性による東北の山旅が始まりました。岩手山は、火山活動の高まりで一部入山規制が続いていましたが、規制緩和を受けて「今年こそは」と目標にしていた日本百名山の一つです。さらに、東北まで行くなら秋の紅葉も楽しみたいと、岩手山登山後には栗駒山の「神の絨毯」を見に行くという、少し欲張りな計画を立てました。しかし、晴天を期待して訪れた岩手山で一行を待っていたのは、青空ではなく、どんよりとした雲と風速20メートルを超える強風でした。
岩手山は標高2,038m、盛岡の街からもその雄大な姿を望めることから「南部片富士」とも呼ばれる岩手県を代表する山で、日本百名山にも選定されています。しかし、山へ向かう道中から、山全体は雲に覆われていました。歩き始めると、標高が上がるにつれて風も一層強くなります。それでも、山肌には赤や黄色、オレンジ色といった秋の色彩が広がり、青空がなくても東北の山々がしっかりと秋を迎えていることを実感させられました。華やかな紅葉登山を想像していたはずが、気づけば強風と格闘する修行のような山行になっていましたが、それでも山頂を目指したくなるのが登山愛好家の性なのかもしれません。私たちは百名山踏破を目指すハイカーとして、この挑戦を受け入れました。
八合目にある避難小屋で一時休憩を取りました。温かいカップ麺が冷えた体に染み渡ります。山頂から戻ってきた他の登山者たちが口々に「上は風がすごかった」と興奮気味に話すのを聞き、心が折れそうになる私。しかし、小屋を出ると、強風は相変わらずでしたが、青空が顔を出す瞬間が増えていました。この変化を見て、「山が私たちを招いているのかもしれない」と感じ、ダウンを着込み、意を決して再び歩き出しました。もちろん、状況によっては引き返す選択肢も頭の中にありました。しかし、お鉢に出ると、先ほどとは比べ物にならないほどの猛烈な風に遭遇します。体を持っていかれないよう耐えながら前進し、山頂ではスマートフォンが飛ばされそうになるほどの強風の中で記念撮影を試みました。その直後、私たちを翻弄していた風が少しずつ穏やかになり、雲の切れ間から次々と青空が広がり始めました。ほんの少し前までの陰鬱な世界が嘘のように、光が差し込むと岩手山の景色は一気に立体的になり、火山特有の荒々しい大地や広大な火口、そしてその先に広がる青空が目に飛び込んできました。この瞬間の喜びは、強風の中を歩き抜いてきたからこそひとしおでした。岩手山の厳しさと美しさ、その両方を一日で味わうことになったのです。
この登山は、自然の予測不可能性と向き合い、困難を乗り越えることで得られる達成感と感動を教えてくれました。自然は時に厳しく、時に優しく、私たちに多くのことを語りかけてきます。どんな状況でも諦めずに前向きに進むこと、そしてその先にある絶景が、私たち自身の内面を豊かにしてくれるでしょう。