初夏の渓流釣り:新潟でヤマメとイワナを追う
6月下旬、二つの台風が過ぎ去り、長野県北部での山仕事が一段落した筆者は、新潟県内のよく訪れる渓流へと足を延ばしました。目的は、フライフィッシングでヤマメとイワナを狙うことです。澄み切った水と豊かな自然が織りなす美しい渓で、魚たちとの知的な駆け引きを楽しみました。当日は、水量が懸念されたものの、翡翠色の清流が広がり、活発なヤマメの反応に恵まれ、記憶に残る一日となりました。
6月下旬、長野県北部での山間作業を終えた筆者は、新潟県に位置する慣れ親しんだ渓流へ向かいました。この時期、フライフィッシングの愛好家にとって、ヤマメやイワナとの出会いは格別なものです。特に今年は、2つの台風が日本列島を通過した直後ということもあり、河川の水量や状況が気がかりでした。新潟県西部における影響は比較的少なく、豪雨には見舞われなかったため、水位は適度な増水に留まり、絶好の釣り日和が期待されました。しかし、現地に到着し車窓から眺める川は、予想に反して平水よりも水量が少ない印象を受けました。
細い茂みを掻き分け、渓流へと足を踏み入れると、川岸にはこれまで見慣れたタニウツギに代わり、ミヤギノハギの赤紫色の花々が彩りを添えていました。対岸へと渡り、まるで自然のビーチのような広々とした岸辺の木陰で釣り支度を整えながら、流れる水に目を凝らします。午前8時の気温は23℃、水温は14.7℃を指しており、ヤマメの生息域としては最適な環境です。しかし、水面には魚が餌を捕食するライズの気配はなく、辺りの緑を映し込んだ水は、息をのむほど美しい翡翠色をしていました。手にすくってみると、その清らかさに思わず口にしたくなるほどです。川底の石の裏側には、カゲロウやカワゲラといった水生昆虫の幼虫が豊富に確認でき、生態系の豊かさを物語っていました。
遠くからはカジカガエルの鳴き声が微かに響く中、2本のウェットフライを結び、ゆったりと釣りを開始しました。フライが流れに沿って移動し終える瞬間、躊躇いがちな、しかし確かなアタリがありました。同じ場所に再度フライを流しますが、魚からの反応はありません。そこで、少し立ち位置を変え、再びフライを投入。わずかに誘いをかけるような動作を加えると、まるでひったくるかのようにラインが勢いよく引き込まれました。重量感こそ控えめですが、ヤマメ特有の力強い泳ぎがロッドを大きくしならせます。ラインを通じて伝わる魚との繊細な綱引きは、何度経験しても胸が高鳴る瞬間です。やがて、鮮やかなパーマークが特徴的なヤマメが、無事に網に収まりました。約一ヶ月前にもこの場所を訪れていますが、その時と比較して、今回は魚の平均サイズが一回り大きくなっているように感じられました。以前同様、魚たちの活性は非常に高く、狙いを定めた流れにフライを漂わせると、ヤマメたちは果敢にアタックしてきました。フライを回収しようとした瞬間に魚が追いすがってきたり、水面から飛び出してフライに食いついたりする場面も何度か見られました。しかし、正午に近づくにつれて、徐々に魚の反応は鈍くなり、水温は16℃台まで上昇していました。
今回の釣行では、澄みわたる渓流で活発に活動するヤマメとの出会いを堪能できました。水温の上昇が午後の釣果に影響を与えたものの、美しい自然の中で心ゆくまでフライフィッシングを楽しむことができ、充実した一日となりました。この経験は、自然の恵みと渓流釣りの奥深さを改めて感じさせてくれるものでした。