信濃路の秘宝:中山道鳥居峠のグラベルロード探訪
とざん

信濃路の秘宝:中山道鳥居峠のグラベルロード探訪

DateSep 14, 2026
Read Time2 min
秋風が心地よい季節に、歴史の息吹を感じる中山道、特に鳥居峠をグラベルバイクで巡る特別なサイクリング体験をご紹介します。かつての難所として知られたこの峠は、今や自然と一体になれる極上のグラベルロードとして、多くのサイクリストを魅了しています。

古の道を駆け抜け、新たな感動を掴む

中山道サイクリングの魅力と「鳥居峠」の発見

自転車での移動は日常的な楽しみの一つですが、車の往来が多い道路では、時にストレスを感じることも少なくありません。幹線道路の端は荒れていることが多く、自転車と車が互いに気を使いながら走行する状況は、決して理想的とは言えません。そんな中、サイクリングに適した道を探し求める日々を送る中で、旧中山道に位置する「鳥居峠」の存在に心が惹かれました。この峠は、全国に同名の地が点在することから、その歴史的な重要性が伺えます。ハイキングコースとして整備された自然歩道に加え、明治時代に開通した旧国道も未だ通行可能であり、特に未舗装の砂利道が続くという情報に、胸が高鳴りました。今回の旅の相棒は「グラベルバイク」。ロードバイクの軽快さとマウンテンバイクの走破性を兼ね備え、舗装路から未舗装路まで、あらゆる地形を快適に走破できるこの自転車は、鳥居峠のような場所でその真価を発揮します。

中山道鳥居峠:歴史と自然が織りなす極上のグラベル体験

今回のサイクリングは、中山道の中でも特に風情ある奈良井宿を起点とし、鳥居峠を越えて薮原宿を目指すコースでした。現在では国道19号線の「(新)鳥居トンネル」を通るのが一般的ですが、私たちは歴史を感じる旧道、特に明治時代に開通した「明治新道」を選びました。旧中山道には「信濃路自然歩道」もありますが、自転車での走行は困難なため、より開けた明治新道を辿ることに。8月下旬の奈良井宿は、昼前でも30℃の気温でしたが、乾燥した空気のおかげで不快な暑さは感じられませんでした。賑やかな宿場町を後にし、緩やかな上り坂を登っていくと、道は次第に広がり、美しい植林地の中へと入っていきます。ここから道は砂利道、すなわちグラベルロードへと変わります。標高1,100mを超えると、国道を走る車の音は遠ざかり、静寂が訪れます。聞こえてくるのは木々の葉擦れの音と、微かな小川のせせらぎのみ。細かく敷き詰められた砂利道は非常に快適で、緩やかな傾斜(約4〜5%)が続くため、一定のリズムでペダルを回し続けることができました。途中、馬頭観音を過ぎると歩道に合流し、「峰の茶屋」があります。水場は枯れていましたが、ここで一休み。いよいよ鳥居峠の「大分水嶺」へと差し掛かります。一見すると平坦な道に見えますが、ここが日本海へ注ぐ信濃川水系と、太平洋へ向かう木曽川水系の分かれ目。釣り好きにとっては、ヤマメとアマゴの生息域を分ける境としても、感慨深い場所です。この先には、鳥居峠の名の由来となったとされる石の鳥居や御嶽神社、丸山公園がありますが、今回は自転車での走行を優先し、これらの散策は見送りました。歩道と別れ、峠を南西へと進むと、道はさらに快適になります。細かな砂利は枯れた松葉で覆われ、まるで絨毯の上を走っているかのよう。緩やかなバンクのカーブが続き、森の中を軽やかに駆け抜ける感覚は、まさに至福の時でした。しかし、ここは一般車両も通行する車道であることを忘れず、スピードを抑え、常に周囲に注意を払う必要があります。実際に遭遇したのは軽トラック一台のみでしたが、時にはカモシカが姿を現し、しばらく一緒に走るという貴重な体験もありました。また、海外からのハイカーらしき人々も数組見かけ、彼らもまた、この歴史ある道を遠回りして楽しんでいるようでした。

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