屋久島「ヤクスギランド」での巨木と清流の癒し体験
世界自然遺産として名高い屋久島は、その貴重な自然環境で知られています。この島を象徴する存在が「屋久杉」であり、亜熱帯から亜高山帯にわたる豊かな生態系が広がっています。数ある自然散策スポットの中でも、「白谷雲水峡」と並び人気を集めるのが「ヤクスギランド」です。本記事では、特に登山初心者でも手軽に大自然の魅力を堪能できるヤクスギランドの奥深さを探っていきます。
ヤクスギランドは標高1,000mから1,300mの間に位置する広大な自然休養林で、屋久島固有の巨木である屋久杉を間近で鑑賞できる絶好の場所です。園内には、訪問者の体力や時間に合わせて選択できる5つの異なる散策コースが整備されています。最短の30分コースから、太忠岳への本格的な登山道を含む3時間30分のコースまで、多様な選択肢が用意されています。今回は、軽いハイキングと登山道の雰囲気を味わえる「つつじ河原コース」の体験をご紹介します。
つつじ河原コースは約2キロメートルの道のりで、所要時間は1時間20分ほどです。管理棟から森へ足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、杉ではなく、まるで自然の門のように根元が空洞になった「くぐり栂」という大きな木です。これをくぐり抜けて小川にかかる木橋を渡ると、「切り株更新」の現象を間近に見ることができる地点に到着します。江戸時代、この森では屋久杉の伐採が盛んに行われており、切り出された木材は「平木」と呼ばれる薄い板に加工され、屋根材などに利用されていました。その当時の切り株が今も森に残り、その上で新たな木々が力強く芽吹き、成長しているのが「切り株更新」です。
また、伐採後に残された枝、幹、根株などの利用されなかった部分は、森の中にそのまま放置されました。しかし、屋久杉は非常に豊富な樹脂を含んでいるため、その防腐効果によって200年から300年が経過した現在でも腐ることなく森に残り続けています。これらは「土埋木(どまいぼく)」と呼ばれており、現在では屋久杉の伐採が全面的に禁止されているため、島内で見られる屋久杉の工芸品や箸などは、こうした江戸時代の土埋木や、台風などで自然に倒れた倒木を利用して作られているのです。