信州の隠れた渓流でイワナを追う:過ぎゆく夏を惜しむフライフィッシング
信州の夏は終わりを告げ、秋の気配が漂い始める頃、長野県を訪れたフライフィッシング愛好家は、過ぎゆく季節の光景を惜しみつつ渓流へと向かいました。大町市、北アルプスからの清らかな水が流れ込む川の支流には、地図に記されていない隠れた滝があり、そこでの釣行は今回で二度目となります。初めてこの地を訪れた時、魚の数は少なかったものの、そのひっそりとした神秘的な雰囲気に魅了されたといいます。標高約1000メートルの入渓地点では、乾燥した風が心地よく吹き抜け、気温は26度。いつの間にかススキの穂が伸び始め、秋の訪れを告げていました。河原を歩くと、あちこちでバッタが跳ねる姿が見られ、釣りの戦略に「バッタパターン」を思い描きます。しかし、気づけばゲーターやウェーディングシューズには「ひっつき虫」がびっしりと付いており、これもまた秋が近づいている証拠でした。
この日の渓流は、渇水状態のおかげで、普段なら苦労する本流の渡渉もスムーズに終え、目的の支流との合流地点に到着できました。水温は14.2度と快適で、水に足を浸しながらの遡行も心地よいものでしたが、狭い渓谷の両岸には落石の痕跡が多く、細心の注意が必要です。最初はバッタを模したフライを使用しましたが、魚の反応は得られませんでした。高い夏の陽光も届かない場所が多く、強烈な陰影のコントラストの中でフライを見失うことも度々でした。そこで、黒いアブに似たカディスパターンに交換して進むと、小さなイワナたちが姿を見せ始めました。以前の釣行時と同様の反応でしたが、途中からは魚影がまったく見られなくなりました。二箇所にあった倒木と土砂による堰き止めが、魚たちの移動を妨げているのかもしれません。その後、一度だけ良型のイワナがヒットしましたが、惜しくもハリから外れて流れの中へと戻っていきました。
自然との一体感を味わい、季節の移ろいを肌で感じる渓流釣りは、都会の喧騒を忘れさせてくれる貴重な時間です。たとえ大漁でなくとも、美しい景色の中で魚と対峙する一瞬一瞬が、私たちに生きる喜びと感動を与えてくれます。自然の厳しさと同時に、その包み込むような優しさに触れることで、私たちは心身ともにリフレッシュし、明日への活力を得ることができるでしょう。どんな状況であっても、前向きな気持ちで自然と向き合う姿勢こそが、真の豊かさへと繋がります。